0.はじめに
初めまして、こんにちは。
突然だが、あなたは《プラズマボルト》というカードを知っているだろうか。

飛び出していけ宇宙の彼方
2025年8月1日に発売されたエキスパンション、【久遠の終端】にて実装された新進気鋭の火力である。1マナ2点ソーサリーのテキストだけ見たあなたは、次にこう言うだろう。
「ショックの下位互換じゃね?」
その感想は正しい。ヴォイドとかいう謎のキーワード能力を除けば、ソーサリータイミングでしか唱えられない2点火力はどう考えても実用に耐える性能ではないだろう。
だが、大事なのはそのキーワード能力である。
「ヴォイド:このターンに、土地でないパーマネントが戦場を離れたか呪文がワープされていたなら、代わりに、プラズマボルトは3点のダメージを与える」
なんとこの火力、よくよくテキストを読むと「1マナ3点火力」である。
古に存在した《稲妻の連鎖》とほぼ同等のテキスト。これは令和のチェンライと言っていいのではないだろうか(超過言)。
現状、スタン~パイオニア環境の本体火力は少しばかり枚数が不足している。モダン以下に比べれば当然ではあるものの、バーンデッキを組むには枚数も打点も足りず、果敢クリーチャーに頼った「ビートバーン」として妥協せざるを得ない。「これはバーンです!」と言いながら《巨怪の怒り》を絶叫キャストする様はとても古のバーンおじ達には溜息ものだろう。
かくいう筆者も初めて組んだデッキはモダンのボロスバーンである。アーキタイプへのこだわりや熱意は人並み以上に持ち合わせているつもりだ。
・「歩く火力」と呼ばれる最低限の速攻クリーチャーでクロックを刻み
・数々の3点火力を「Target You!」と指差しながら投げつける
対戦相手から怒りと共に「お祈りトップデッキ」と揶揄されるこのアーキタイプをこよなく愛する我々にとって、果敢ビートダウンをバーンと同一視するのは少々悔しい思いが拭えない。「火力を投げ続けるデッキがバーンである」と世間に知ってほしい。
そこで登場したこの《プラズマボルト》である。貴重な1マナ3点火力を使わない理由はない。だが、構築を歪めて紙束にしたものをデッキと呼ぶわけにはいかない。
そこで、筆者なりに考察し、使用し、現パイオニアでもある程度戦えると自負するリストを組み上げてみた。実際にMTGアリーナやMagic Onlineで使用したうえで記載している者であるため、机上の空論ガラクタではないことだけ記させてほしい(懇願)。

■インポート用
4 Fanatical Firebrand
4 Monastery Swiftspear
4 Kumano Faces Kakkazan
4 Burst Lightning
4 Boltwave
4 Plasma Bolt
4 Boros Charm
4 Lightning Helix
4 Light Up the Stage
4 Skewer the Critics
4 Sacred Foundry
4 Inspiring Vantage
4 Battlefield Forge
2 Mountain
2 Ramunap Ruins
2 Needleverge Pathway
1 Den of the Bugbear
1 Sokenzan, Crucible of Defiance
2 Magebane Lizard
2 Rending Volley
3 Skullcrack
3 Searing Blood
2 Rest in Peace
2 Destroy Evil
1 Exquisite Firecraft
2.採用カード紹介
各マナ帯に採用しているカードを簡単に紹介していく。なお、土地に関しては今回は割愛とさせていただく(マナベース警察への牽制)。
1マナ
4《僧院の速槍》
→バーンといえば外せない果敢速攻ネキ。スタッツ、能力、マナコストと文句の付け所がない姉御がバーンというアーキタイプから外れることはない。

頼れる背中
4《狂信的扇動者》
→本デッキ最大の問題児。リストを見た諸君も思わず目を疑ったことだろう。かつて赤アグロやゴブリンデッキにて猛威を振るった彼は、令和の世に蘇った。1/1/1速攻というとても強そうには見えないクリーチャーだが、今回に限っては割と真面目な理由で採用と相成っている。
まず、本記事のメインコンテンツである《プラズマボルト》のテキストを思い出してほしい。
「ヴォイド:このターンに、土地でないパーマネントが戦場を離れたか呪文がワープされていたなら、代わりに、プラズマボルトは3点のダメージを与える」
このカードを稲妻として使う場合、戦場から能動的にパーマネントが離れる必要がある。一応パイオニアには《熊野と渇苛山の対峙》というヴォイド達成に一役買う最強カードが存在するが、さすがに1種4枚だけで運用するわけにはいかない。
また、その《熊野と渇苛山の対峙》の2章テキストである「クリーチャーに+1/+1カウンターを置く」をみすみす使い損なう意味も無い。カウンターが乗った上で速攻能力で走らせることができるクリーチャーが必要だった。
《狂信的扇動者》は上記2つの条件を充足する。タップ能力で生贄になることで打点を飛ばしながらヴォイドを達成し、《プラズマボルト》を3点火力として進化させ、《熊野と渇苛山の対峙》の2章誘発の恩恵を受けながら速攻能力で戦場を駆け抜けることができる。
つまり、こいつはパイオニアバーンにおける《ゴブリンの先達》である。
そして後述する二枚のカードとも相性がいい。
《批判家刺殺》と《舞台照らし》というパイオニアバーンを支える二大巨頭は「絢爛」というキーワード能力を持っている。
絢爛(赤)(このターンに対戦相手がライフを失っていたなら、あなたはこの呪文を、これのマナ・コストではなく絢爛コストで唱えてもよい。)
バーンの安定性を支えるこれらが持つ上記キーワード、実は達成がそれなりに難しい。「火力投げるだけじゃん」と思われがちだが、他にカードが一枚必要だったり絢爛が嵩張ったりすると上手くマナを消費できずに動きがもっさりしてしまう場面が往々に存在する。
その絢爛も《狂信的扇動者》は自らを犠牲にして達成することができる。スライなら盤面からクリーチャーが消えることは無視できないデメリットだが、このデッキは火力に寄せたセミフルバーンであるためなんら問題はない。1t目に《狂信的扇動者》が出ていれば、仮に土地1でキープしてしまって返しにブロッカーを出されたとしても2t目に《舞台照らし》を打つことができる。
ヴォイド、絢爛、熊野、本体火力……と、このデッキが必要とする条件達成を《狂信的扇動者》は一人ですべて支えてくれるのだ。役割としては接着剤に近い。しかも速攻クリーチャーでブロッカーに対しても無視して打点を飛ばせる。文句の付け所がスタッツの低さしかないが、《ゴブリンの先達》にはできない仕事をやってのけるいぶし銀。マジで一度使ってみてほしい。

実はファウンデーションで再録されている
4《噴出の稲妻》
→パイオニア以上のプールで一番強いショック系列。《火遊び》の占術よりマナフラ受けとして1枚で仕事できる範囲を考えての採用。

キッカー警戒されないがち
4《熊野と渇苛山の対峙》
→パイオニアの赤カードで一番強いエンチャント。すべての章能力が腐りづらく、裏面も2/2速攻かつ追放能力とお子様ランチみたいな性能。《僧院の速槍》を初めとした速攻クリーチャーの後押しや絢爛・ヴォイドの達成を可能にする無くてはならない存在。

卍最強卍
4《稲妻波》
→「ファウンデーション」で登場した1マナ3点火力。おそらく《溶岩の撃ち込み》のリメイクカードだが、何故か対象を取らないため《神聖の力線》をすり抜けることができる。特に縛りもなくシンプルに3点として撃てるのが偉い。パイオニア以上でのバーンデッキ強度を飛躍的に向上させた一枚。

「Target You!」って言えない
4《プラズマボルト》
→今回の主役。「どうやって運用すんねん」と言われ続けてきたが、思っている十倍くらいヴォイド達成できる。速攻クリーチャーをバンザイアタックさせてもいいし、もらった地図を曲げてもいい。サイドから入ってくる除去と合わせてもいい。このカードが増えたことで火力寄せのバーンが現実となった。ありがとう「久遠の終端」

撃つときは高らかに読み上げよう!
2マナ
4《ボロスの魔除け》
→バーンデッキがボロスカラーである所以。2マナ4点という破格の性能が魅力。何気に二段攻撃付与が偉く、《神聖の力線》を避けてライフを詰めるのにも役立つ。

このカードをどれだけ引けるかが勝負の鍵
4《稲妻のらせん》
→絆魂がついた《稲妻の一撃》。2マナ3点火力そのものは及第点レベルだが、ライフゲインがあることでライフレースの補助をしてくれる。Anyターゲット火力としては一番強いのでリストインしているものの、環境によっては《頭蓋割り》などに枠を譲ることもある。パイオニアはタフ3のシステムクリーチャーが多いので、他候補よりは優先してメイン採用。

結局この女性は誰なんですか?
3マナ
4《舞台照らし》
→唯一のリソース補充枠。相手のライフを詰めることはできないが、モダン以下に比べて火力性能に劣るフォーマットであるためカード枚数を稼ぐために採用。《狂信的扇動者》や《熊野と渇苛山の対峙》などを駆使してできるだけ効率よく使っていきたい。衝動ドローであるため唱えるタイミングには注意が必要(使いきれず消えるのには気を付けよう)

強い火力が増えたら抜ける枠
4《批判家刺殺》
→1マナ3点組の一角。モダンでも使われている性能の高さはパイオニアでも健在。手札で嵩張ると一生唱えられなくて悲しい顔になるのはご愛嬌。その性質上メイン2に唱えることも多く、果敢とは少し相性が悪い時も。それでも高い安定性で3点削れるのはかなりの魅力。

酸いも甘いも
3.サイドボード
こちらは環境に合わせて各自変えてほしいところではあるが、今回は2025/11/22現在で筆者が使用しているリストのサイドを個人的採用理由と雑感を交えて紹介させていただく。
※マナコスト順
2《引き裂く流弾》
→対白系クリーチャー特攻呪文。人間やスピリットなどの白系部族やパルヘリオン系統を意識しての採用。なお、パルヘリオンに関しては最近はオルゾフで除去の効きづらいタイプが多いため、脂牙専用除去になることもしばしば。

打ち消されないのテキストが本体
3《頭蓋割り》
→ライフゲイン絶対止める火力。《跳ねる春、ベーザ》や《黙示録、シェオルドレッド》などのゲインに対してインスタントタイミングで「待った!」をかけるのが主な役目。なんだかんだ《稲妻の一撃》くらいの性能はあるので腐りづらい。《九つの命》が置かれていてもこれを打てばダメージ軽減を無視してライフ詰められるのは覚えておきたい。
環境次第では《稲妻のらせん》を落としてこちらをメインに昇格させてもいい。

可能なら四枚欲しい
2《魔道士封じのトカゲ》
→イゼット絶対殺すマン。最近はイゼットビビだとグルール果敢だとスペルを連打するデッキが増えているので活躍の機会は多い。できるだけ《熊野と渇苛山の対峙》の2章に合わせることで《レッドキャップの乱闘》を透かすように運用していきたい。

ロータスコンボにも入れる
3《灼熱の血》
→盤面とライフを両方処理していける、いわゆる《焼尽の猛火》枠。バーンは手札を捨てていく関係上、盤面処理にかまけていてはライフが詰められない。そこでこのカードを使うことで小粒を破壊しながらライフも減らしていくことができる。対クリーチャーデッキにはなくてはならない火力。贅沢を言うならタフ3まで破壊させてほしい。

熊野の裏面で追放すると打点飛ばないことには注意
2《安らかなる眠り》
→万能墓地追放。置くだけで恒常的に墓地利用を牽制することができる。ライフを詰められない後ろ向きな対策カードではあるが、これくらい豪快に墓地を潰さないと動きを咎められないデッキがあるのでしゃーなし採用。イゼットフェニックスにはあまり効かないのでできるだけ入れないようにしたい。最近は墓地利用が少なめなので抜いてもいいかもなの枠。

アンフェアを許すな
2《邪悪を打ち砕く》
→ファッティとエンチャント処理用。主な仮想敵としてはこれまた《黙示録、シェオルドレッド》と《不浄な別室/祭儀室》、それと天敵の《神聖の力線》である。対抗馬としては《失せろ》があるが、なんだかんだ相手に地図トークンを渡すのが地味に嫌だったのでデメリットが特にないこちらを採用。《神聖の力線》を入れてきそうな相手には保険として入れた方が良い(3敗)。

絵違い全部この構図
1《極上の炎技》
→青系デッキの詰めとして優秀な火力。魔巧により打ち消されなくなるため、最後の一押しとしてカウンターに怯えなくて済むのはかなり偉い。イゼフェニと青白コン専用サイドに近く、正直筆者も本当に必須かは悩んではいるものの、青白コンに負けるのはかなりストレスなのでお守り代わりに入っている。

かっこいい火力ランキング堂々の第一位
4.サイドボードへの採用候補
今回サイドボードには採用していないが、使ってみて必要ぽいなだったり環境次第では採用してもいいかもなみたいなのをご紹介。
《跳ね返す掌》
→MTG界の《魔法の筒》。デカブツで殴ってくるデッキに対する回答。パルヘリオンや眼魔に墓地対策しても焼け石に水なため、打点をそのまま火力に変換して焼き切ることを狙う。オルゾフパルヘリオン、呪禁オーラ、ハンマータイムがマジで相性終わっているため、今の環境ならRIPを抜いて2枚程度取ってもいいと思う。

パイオニアではほぼケアされない
《摩耗/損耗》
→超低コストで置物に対応することができる万能ディッチャ。使い勝手はかなりいいが相手のライフは詰められないのが玉に瑕。《コーリ鋼の短刀》デッキはメインから有利なのでアーティファクトを破壊するメリットが少ないのが難点。

モダンだとマスト
《封じ込める僧侶》
→アンフェアを殺すモンク。独創力、異形化、奇怪な具現、新生化あたりの踏み倒しデッキをまとめて相手できるのが魅力。《不浄な別室/祭儀室》から出てくるデーモントークンが処せないのが玉に瑕。

熊野も死ぬ
《厳しい試験官》
→ETB誘発を咎めるロータス御用達のクリーチャー。地味に速度が足りない「スケープシフト」に対してタックス係としての仕事が期待できる。また、ETBデッキである「セレズニアカンパニー」に強いのも特徴。ただ現環境ではあまり活躍の場は見込めない可能性あり。

地味に仕事が多い
《粉々》
→アーティファクトを壊しつつ顔面を詰められる実質的なバーンスペル。サクリファイス系統やパルヘリオン系統に強く出られつつ《コーリ鋼の短刀》も咎められるが、少々機会費用が高い場合も。範囲が狭い火力はトップした時のリーサルに関わるので採用優先度は低め。

サクリファイスが環境取ったら入れてもいいかも
《神聖なる月光》
→ドローができる《封じ込める僧侶》。とりあえず引くことはできるので腐りづらいのはメリット。ただクロックにならないマイナス点もあるので劇的ではないか。黒ミッドが出してくるデーモントークンも対処できるのは僧侶にはない強み。

ドローは偉い
5.終わりに
ここまで読んでいただきありがとうございます。
最初は「モダンみたいなバーン組みたいな」くらいの温度感から始めたリストでしたが、《プラズマボルト》が想像よりずっと強くて気づけば虜になっていました。この調子でウィザーズには《稲妻》亜種や《ゴブリンの先達》を再録してほしいです()。
それでは、良きバーンライフを!
※サムネイル用
